アルミ缶の上で樽未完

そこら辺のいちゲーマー/TCGプレイヤー”たるる”のメモ的な何か。所属コミュニティ「パンデモMTG部」の身内MTG大会「パンデモ杯」についてもあれこれ。

デッキテク:『マルドゥ・ゾンバードメント』(第35回パンデモ杯優勝)

「パンデモ杯」は、僕が所属するMTGコミュニティ「パンデモMTG部」にて、大体月1回のペースで開催されている身内大会だ。フォーマットは、先月はスタンダード、今月はレガシーで来月は『ラヴニカの献身』シールド、といったふうに月ごとにローテーションしている。

 さて本題だが、この度行われた第35回パンデモ杯(レガシー)にて、僕は拙作のデッキをプレイし、ついに悲願の初優勝を成し遂げた。

 

 

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デッキテクとは銘打ったが、今回はGP静岡以降の調整も含めて、この『ゾンバードメント』というアーキタイプについて、一度しっかりと自分の言葉で語ろうと思う。

 

 

 

Talの『マル・ゾンバードメント』

 

クリーチャー:14
4:《墓所這い/Gravecrawler》
4:《縫い師への供給者/Stitcher's Supplier》
4:《恐血鬼/Bloodghast》
1:《ネル・トースの災い魔/Scourge of Nel Toth》
1:《大いなるガルガドン/Greater Gargadon》

呪文:26
4:《納墓/Entomb》
4:《信仰無き物あさり/Faithless Looting》
4:《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
3:《思考囲い/Thoughtseize》
2:《悪魔の意図/Diabolic Intent》
3:《ゴブリンの砲撃/Goblin Bombardment》
3:《黄泉からの橋/Bridge from Below》
3:《ファイレクシアの供犠台/Phyrexian Altar》

土地:20
3:《沼/Swamp》
1:《Badlands》
1:《Scrubland》
2:《血の墓所/Blood Crypt》
1:《神無き祭殿/Godless Shrine》
4:《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
3:《湿地の干潟/Marsh Flats》
2:《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
1:《汚染された三角州/Polluted Delta》
1:《知られざる楽園/Undiscovered Paradise》
1:《ファイレクシアの塔/Phyrexian Tower》

サイドボード:15
1:《強迫/Duress》
1:《暗黒破/Darkblast》
1:《紅蓮破/Pyroblast》
1:《赤霊破/Red Elemental Blast》
3:《摩耗+損耗/Wear+Tear》
1:《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》
1:《トーモッドの墓所/Tormod's Crypt》
3:《沈黙の墓石/Silent Gravestone》
1:《真髄の針/Pithing Needle》
2:《波停機/Stabilizer》

 

 

 

『ゾンバードメント』とは

 

『ゾンバードメント』は主に黒赤(にタッチ白または緑)で構成される、コンボ・アグロデッキである。

名前の由来は、『ゾンビ』+『ボンバードメント』。

墓所這い/Gravecrawler》や《恐血鬼/Bloodghast》などの墓地から蘇るクリーチャーを《ゴブリンの砲撃/Goblin Bombardment》で射出していく動きが基本だ。

 

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これらのクリーチャーたちは《信仰無き物あさり/Faithless Looting》・《納墓/Entomb》、『基本セット2019』からの新戦力《縫い師への供給者/Stitcher's Supplier》で墓地へと送り込まれ、戦場へと蘇る。

そして《砲撃》や《陰謀団式療法/Cabal Therapy》によって、また死亡し、また蘇る。

マジックの古い言葉に、「死は労働をやめる理由にならない。」(《ファイレクシア流再利用/Phyrexian Reclamation》のフレーバー・テキスト)というものがあるが、このデッキはまさにそれを体現していると言えるだろう。

 

貴方がもしホラー映画好きならば、既にお気づきだろうか。

そう、ゾンビがたった1人きりで襲いかかってくるわけが無い

 

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《黄泉からの橋/Bridge from Below》は、エンチャントでありながら、普通に唱え戦場に置いても何も起こさないという、マジックのカードの中でも極めて特異な1枚である。

このカードが墓地に置かれているときに自分のクリーチャーが死亡するとゾンビ・トークンを生成するという能力であるが、自らクリーチャーを生け贄に捧げていく『ゾンバードメント』では、これが1枚、2枚と墓地に置かれているだけであっという間に戦場がゾンビで埋め尽くされてしまう。

生成されるトークンは”ゾンビ”であるため、もちろん墓地の《墓所這い》は唱えることが出来るようになる。

 

アメリカの鬼才、サミュエル・ブラックがこのアーキタイプを世に産み出してからしばらくは、《墓所這い》のように墓地から唱えることができボード・アドバンテージで優位に立つことが出来る《未練ある魂/Lingering Souls》なども採用され、消耗戦に滅法強いアグロ~ボード・コントロールのようなデッキであった。

 

 今は、そうではない。

 

僕が最初に、「コンボ・アグロデッキである」と書いたのを憶えているだろうか。

そう、現代の『ゾンバードメント』はコンボデッキの側面をも獲得した。

 

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《ファイレクシアの供犠台/Phyrexian Altar》は、クリーチャーの生命をマナに変換することが出来る。

墓所這い》を生け贄に捧げて黒マナを生み出せば、そのマナで墓地の《墓所這い》を唱えることができる。もっとも、戦場にゾンビが居ることが条件ではあるが…

いや、《墓所這い》を生け贄に捧げたのならば、戦場に居るじゃないか。《黄泉からの橋》によって生成されたゾンビ・トークンが

 

つまりこういうことだ。

①:墓地に《黄泉からの橋》がある状態で、《ファイレクシアの供犠台》でクリーチャーを生け贄に捧げて黒マナを生み出す。《黄泉からの橋》が誘発し、ゾンビ・トークンが生成される。

②:その黒マナで、手札か墓地の《墓所這い》を唱える。

③:①と②を任意の回数繰り返す。

 

これだけで、無限にゾンビが湧いて出てくることとなる。《砲撃》があればそのまま対戦相手に20点を与えればいいし、ゾンビ・トークンを生け贄に捧げてもマナが出るので、《物あさり》をフラッシュバックして《砲撃》を探しに行くことも出来る。ターンが帰ってくれば全員で攻撃してほぼ勝ちだ。

 

持久力をそのままに、『ゾンバードメント』は速やかにゲームを決めうる力をも手にした。

 

 

 

パンデモ杯に寄せての調整

 

さて、アーキタイプの解説が終わったところで、GP静岡を終えてから今回の第35回パンデモ杯に寄せての細かい調整の話をしよう。

GP静岡のときのデッキリストこちらを見てほしい。

 

前述の通り、《供犠台》コンボのゲーム決定力には目を見張るものがある。そこで、僕も先人に習ってこのコンボに寄せた形を試してみた。

具体的には、フェアデッキ耐性の《未練ある魂》と《苦花/Bitterblossom》を抜き、《供犠台》を増やした形だ。

《未練ある魂》自体はデッキのメインの動きに噛むものではなく、抜けたことによる不便は余り感じなかったと共に、コンボのキーカード枚数が増えたことで決まる可能性の増えた《供犠台》コンボは確かにゲームに勝利出来る力を持っていると確信できた。

 

外のレガシー環境で練習をしていた時は、どうしても《虚空の杯/Chalice of the Void》擁する『エルドラージ』が苦手だったため、メインデッキに《ゴブリンのクレーター掘り/Goblin Cratermaker》と《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》を採用していた。

 

そして今回のパンデモ杯、予想されたメタゲームは、

 

1:グリクシスシャドウ7割 or エルドラージ3割

1:青白奇跡

1:リアニウーズコンボ4割 or サイクリング6割

1:ステイシス8割 or 赤単プリズン2割

1:ベルチャー4割 or 青赤コイントス6割

1:デッドガイ・エイル

1:青白スピリット

1:???

 

そう、致命的に苦手な《虚空の杯》に遭遇する確率が極端に低かった

そこで僕は今回、混沌としたメタゲームで勝ち上がれる可能性の高い《供犠台》コンボの遂行率をより高めるために、あるカードを採用した。

 

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《悪魔の意図/Diabolic Intent》だ。

クリーチャーを生け贄に捧げる追加コストは、『ゾンバードメント』において苦ではない。そしてライブラリーから好きなカード、コンボに必要な《供犠台》や《墓所這い》を手に入れることができる。コンボが完成してからは、《砲撃》を探してそのままターンを渡す必要なくゲームを終わらせることが出来る。

 

このカードのおかげもあってか、本戦4ラウンド中の《供犠台》コンボ遂行率は、今までよりも圧倒的に高かった気がする。

 

ああ、サイドボードは実質13枚だったかもしれない。

《波停機/Stabilizer》2枚は流石にピンポイント過ぎたし、当のプレイヤーはサイクリングではなくリアニウーズコンボでの参戦あった。しかもR1でマッチングするという、いきなり山場を迎える事となったが、こちらもコンボ遂行率と速度という刃を磨いていたため、何とか勝利。

 

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今後このリストを改めて《虚空の杯》の存在する環境へ対応させるならば、サイドボードをこうするだろう。

 

サイドボード:15
1:《強迫/Duress》
1:《紅蓮破/Pyroblast》
4:《摩耗+損耗/Wear+Tear》
2:《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》
3:《沈黙の墓石/Silent Gravestone》
1:《真髄の針/Pithing Needle》
1:《罠の橋/Ensnaring Bridge》
2:《カラカス/Karakas》

 

何はともあれ、悲願の初優勝達成はとても嬉しい。これでやっと次のスタート地点に立てるのだろう。

まだまだ道は長い。