アルミ缶の上で樽未完

そこら辺のいちゲーマー/TCGプレイヤー”たるる”のメモ的な何か。所属コミュニティ「パンデモMTG部」の身内MTG大会「パンデモ杯」についてもあれこれ。

デッキテク:『マルドゥ』(第36回パンデモ杯優勝)・『バント』・『ジャンド』・『エスパー』

去る2/16、都内某所で第36回パンデモ杯(シールド)が開催された。

今大会はなんと、普段は主にオンライン杯に出場してくれている遠方勢が遠征参戦してくれ、14名によるスイスラウンド4回戦という、普段より大きな規模で行われた。

 

アゾリウス、シミックラクドス、オルゾフ、そしてグルールが満を持してスタンダードに参戦した『ラヴニカの献身』(以下RNA)には多色のパワーカードが沢山収録されており、リミテッドのデッキ構築をとても楽しいものにしてくれている。ギルドの色に沿っての2色デッキに加えて、基本土地枠からギルド門が排出されることもあり、それらのギルドを混合させた3色のデッキ、更には各色の優良カードを満足に搭載した4色・5色のデッキを構築することすらも出来るだろう。

 

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そんなカラフルなデッキたちがひしめく中、栄光の優勝を手にしたのは、主催者にして36回通して唯一の皆勤賞、おしねさん!初優勝おめでとう!

 

 

普段のスタンダード構築では黒系の除去を豊富に搭載したボード・コントロールデッキを好むおしねさんだが、一体彼は今回どのようなシールド・デッキを構築し優勝をもぎ取ったのだろうか?

加えて今回は、遠方からリアル杯初参戦してくれたととさん・まどかさんのデッキも紹介しよう。(そして、実は連続優勝を賭けておしねさんと決勝戦を争った筆者Talも含めて)それぞれのデッキ構築理念を覗いてみようと思う。

 

 

おしねの『マル・リムーバル』(Removal・・・英語で”除去”のこと)

 

クリーチャー:13
1:《黄昏の豹/Twilight Panther
1:《組織のギルド魔道士/Syndicate Guildmage》
1:《無慈悲な司教/Pitiless Pontiff》
1:《オルゾフの処罰者/Orzhov Enforcer》
1:《死に到る霊/Pestilent Spirit》
1:《棘輪の曲芸/Spikewheel Acrobat
1:《ゴーア族の破壊者/Ghor-Clan Wrecker》
1:《護民官の重鎮/Civic Stalwart》
2:《地底街のゴミあさり/Undercity Scavenger》
1:《刃の曲芸人/Blade Juggler》
1:《悲しみの騎士/Knight of Sorrows》
1:《門の巨像/Gate Colossus》

呪文:10
1:《略式判決/Summary Judgment》
1:《焦印/Scorchmark》
1:《昇華+消耗/Consecrate+Consume》
1:《最後の支払い/Final Payment》
1:《日晒し/Expose to Daylight》
1:《魔性/Bedevil》
1:《的中/Get the Point》
1:《歩哨の印/Sentinel's Mark》
1:《批判家刺殺/Skewer the Critics》
1:《反逆の行動/Act of Treason》

土地:17
4:《平地/Plains》
3:《沼/Swamp》
3:《山/Mountain》
2:《オルゾフのギルド門/Orzhov Guildgate》
2:《ギルド門通りの公有地/Gateway Plaza》
2:《ラクドスのギルド門/Rakdos Guildgate》
1:《神無き祭殿/Godless Shrine》

 

 

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除去! 除去!! 除去!!!

 

リミテッドは、主にクリーチャーによる戦場の制圧が基本戦術となる。1枚で状況をひっくり返せるようなカードを手にすることは難しく、不利な戦闘を仕掛けづらいため、お互いに4,5体ものクリーチャーがにらめっこになることなんて日常茶飯事だ。

「相手の3/5が超えられずに攻撃できない…」、リミテッドをプレイしたことがあれば、一度はそんな思いをした事があるはず。そうならないために、緑であれば格闘、白であればエンチャントによる追放、青であればバウンス、そして赤であればダメージ…といったふうに、各色によって違いはあるものの、相手のクリーチャーへと対処をすることはリミテッドの基本中の基本と言えるだろう。

だが中でも、黒の除去は強い。いわゆる「確定除去」というカードが黒に多いためだ。黒い除去は、相手クリーチャーのパワーやタフネス、マナ・コスト、種族や能力にかかわらず破壊することが出来る(流石に「呪禁」と「被覆」持ちは難しいが)。

 

そして、除去によって戦線をこじ開けた後は戦闘を仕掛ける。勿論、サイズの大きいクリーチャーによる有利な戦闘になるだろう。“門”は計6枚もあり、5,6ターン目に《門の巨像/Gate Colossus》が飛び出してくることもある。

 

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膠着している盤面では、《反逆の行動/Act of Treason》で相手の主力クリーチャーを奪ってあげたって良い。そのまま《地底街のゴミあさり/Undercity Scavenger》で生け贄に捧げてしまえばほとんど確定除去。こちらには5/5が残り、なんと占術2のオマケ付きだ。人から借りたものはキチンと返すのが道理だが、それはそれ、これはこれ。

サイズは小さいながらも、《黄昏の豹/Twilight Panther》と《オルゾフの処罰者/Orzhov Enforcer》は接死を持ち、早いターンのうちから戦場を膠着させるのには打って付けだ。ゲームが長引けば長引くほど、除去の枚数だけこちらが有利だろう。

「相手のクリーチャーを倒す」という見事な一貫性を持った、正におしねさんらしいシールド・デッキを構築し優勝をもぎ取った彼に盛大な拍手を贈ろう。

 

 

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続いて、遠路はるばる参戦してくれたととさんのシールド・デッキがこちら。

 

 

ととの『ジャ・アグロ』

 

クリーチャー:15
1:《槍播き/Spear Spewer》
1:《一族のギルド魔道士/Clan Guildmage》
1:《溶解区のイグナス/Smelt-Ward Ignus》
1:《尖塔に忍び寄るもの/Steeple Creeper》
1:《災いの歌姫、ジュディス/Judith, the Scourge Diva》
1:《瓦礫帯走り/Rubblebelt Runner》
1:《炎樹族の蛮人/Burning-Tree Vandal》
1:《瓦礫の投げ手/Rubble Slinger》
1:《棘輪の曲芸/Spikewheel Acrobat
1:《グルールの獣使い/Gruul Beastmaster》
1:《激情のエイリンクス/Frenzied Arynx》
1:《倍火/Amplifire》
1:《暴れ回る裂き角/Rampaging Rendhorn》
1:《刃の曲芸人/Blade Juggler》
1:《瓦礫帯の世捨て人/Rubblebelt Recluse》

呪文:8
1:《石のような強さ/Stony Strength》
1:《興行+叩打/Carnival+Carnage》
1:《焼印刃/Bladebrand》
1:《的中/Get the Point》
1:《野生の律動/Rhythm of the Wild》
1:《野蛮な一撃/Savage Smash
1:《批判家刺殺/Skewer the Critics》
1:《奈落への放逐/Consign to the Pit》

土地:17
3:《沼/Swamp》
3:《山/Mountain》
2:《森/Forest》
1:《オルゾフのギルド門/Orzhov Guildgate》
1:《調和の公有地/Plaza of Harmony》
1:《ラクドスのギルド門/Rakdos Guildgate》
2:《シミックのギルド門/Simic Guildgate》
1:《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
3:《グルールのギルド門/Gruul Guildgate》

 

 

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フォーマット問わず、構築では青白系のコントロールデッキを好むととさんだが、今回のシールドでは真逆の色、ジャンドカラーのアグロデッキに挑戦。

グルール族のキーワード能力「暴動」は、追加のコストを必要とすることなくクリーチャーのサイズを一回り大きくしてくれるため、リミテッドでは相手より優良なクリーチャーを並べやすくなる。さらに突破口さえ開いてしまえば、「速攻」の付与を選択し一気に攻勢に出ることもできる。ラクドス教団の力を借りて戦線をこじ開け、グルール族の野郎共が相手をなぎ倒す、そんな意志が伝わってくる。

そんな「暴動」を自分のクリーチャーすべてに与えてくれるのが《野生の律動/Rhythm of the Wild》だ。クリーチャーが打ち消されなくなるのはリミテッドではほぼオマケだが、設置さえしてしまえば全てのクリーチャーのサイズを上げることが出来るのは3マナにしては破格といえるのではないだろうか。

 

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《興行+叩打/Carnival+Carnage》の《叩打/Carnage》は、相手の手札から5,6マナのクリーチャーや構えている除去を刈り取り、ダメージまで与えてくれるパワースペル。暴動クリーチャーで戦場を固めた後、それを崩されないように違う角度を攻めてくれるのは、グルール族にはないラクドス教団の狡猾さだ。

 

 

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そしてもう1人の遠征組、パンデモMTG部関西支部からの刺客まどかさんが構築したのはこちら。

 

 

まどかの『パー・フライング』

 

クリーチャー:16
1:《毅然たる番犬/Resolute Watchdog》
1:《しつこい請願者/Persistent Petitioners》
1:《フェアリーの決闘者/Faerie Duelist》
1:《情熱的な扇動者/Impassioned Orator》
1:《協約のペガサス/Concordia Pegasus》
1:《評議会の急使/Senate Courier》
1:《第10管区の古参兵/Tenth District Veteran》
1:《債務の聖職者/Ministrant of Obligation》
1:《護民官の重鎮/Civic Stalwart》
1:《評議会のグリフィン/Senate Griffin》
1:《組織の伝書使/Syndicate Messenger》
1:《速足ウツボ/Skitter Eel》
1:《屍肉インプ/Carrion Imp》
1:《聖堂の鐘憑き/Basilica Bell-Haunt》
1:《刃の曲芸人/Blade Juggler》
1:《アゾリウスの騎士判事/Azorius Knight-Arbiter》

呪文:10
1:《焼印刃/Bladebrand》
1:《スフィンクスの眼識/Sphinx's Insight》
1:《戦いへの結集/Rally to Battle》
1:《歩哨の印/Sentinel's Mark》
1:《法魔道士の束縛/Lawmage's Binding》
1:《公判への移送/Bring to Trial》
1:《集団強制/Mass Manipulation》
1:《渦巻く激流/Swirling Torrent》
1:《アゾリウスのロケット/Azorius Locket》
1:《オルゾフのロケット/Orzhov Locket》

土地:14
4:《平地/Plains》
7:《島/Island》
1:《沼/Swamp》
2:《オルゾフのギルド門/Orzhov Guildgate》

 

 

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アゾリウス評議会の優秀な議員たちに、黒のカードを少々タッチしたビートダウンデッキだ。

《組織の伝書使/Syndicate Messenger》は2/3飛行という及第点のサイズに加え「死後1」を持ち絶妙な除去のしづらさだ。《協約のペガサス/Concordia Pegasus》・《評議会のグリフィン/Senate Griffin》といった飛行クリーチャーたちも併せて、他のギルドより強く制空権を確保してくれる

そして空を我が物とした後、地上は《アゾリウスの騎士判事/Azorius Knight-Arbiter》が、なんと攻撃をしながら受け止めてくれる。タフネス5という素晴らしい硬さに加えて、警戒とブロックされない能力により膠着した戦場でもしっかりと攻撃でき、相手にプレッシャーを掛け続けてくれる。

(X)(X)(U)(U)(U)(U)というド級のマナ・コストを持つ《集団強制/Mass Manipulation》は、土地が伸びやすいリミテッドではX=3くらいでも撃てる可能性があり、パーマネント3つのコントロールを奪取してしまえば、戦闘は圧倒的に有利になるに違いない。

 

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《集団強制/Mass Manipulation》と真逆のマナ・シンボルを持つ《聖堂の鐘憑き/Basilica Bell-Haunt》も投入されているが、ギルド門とロケットというラヴニカ環境を支える多色マナベースがその負担を軽減してくれている。3/4というサイズで相手の地上をしっかりと受け止め、盤外リソースをしっかりと攻めてくれるため、航空戦力の穴を埋めてくれるだろう。

 

 

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そして最後に、僕、Talの構築したデッキを紹介しよう。

 

 

Talの『・《ドビンの鋭感》』

 

クリーチャー:13
1:《毅然たる番犬/Resolute Watchdog》
1:《プテラマンダー/Pteramander》
1:《賢者街の学者/Sage's Row Savant》
1:《トカゲ体の混種/Sauroform Hybrid》
1:《森の刷毛履き/Sylvan Brushstrider》
1:《エアロムンクルス/Aeromunculus》
1:《ヴィズコーパの吸血鬼/Vizkopa Vampire》
1:《尖塔の霊/Spirit of the Spires》
1:《組織の伝書使/Syndicate Messenger》
1:《暴れ回る裂き角/Rampaging Rendhorn》
1:《アゾリウスの騎士判事/Azorius Knight-Arbiter》
1:《冷気をもたらす者/Chillbringer》
1:《終末の祟りの先陣/End-Raze Forerunners》

呪文:10
1:《剛力の殴り合い/Titanic Brawl》
1:《応用生術/Applied Biomancy》
1:《略式判決/Summary Judgment》
1:《解任+開展/Depose+Deploy》
1:《本質の把捉/Essence Capture》
1:《予知覚/Precognitive Perception》
1:《スライム縛り/Slimebind》
1:《ドビンの鋭感/Dovin's Acuity》
1:《法魔道士の束縛/Lawmage's Binding》
1:《シミックのロケット/Simic Locket》

土地:17
4:《平地/Plains》
3:《島/Island》
5:《森/Forest》
1:《ギルド門通りの公有地/Gateway Plaza》
2:《シミックのギルド門/Simic Guildgate》
2:《アゾリウスのギルド門/Azorius Guildgate》

 

 

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附則を条件に再利用が可能になるエンチャント《ドビンの鋭感/Dovin's Acuity》を使いまわしながら航空戦力で殴るデッキだ。シミック連合が誇るパワフルなクリーチャーと、アゾリウス評議会の権力的な呪文を織り交ぜて、細かいアドバンテージを重ねることを目指す

しかし今回は、デッキ自体の細かいお話は割愛。自分のシールド・デッキについて書くのも恥ずかしいしね。

 

そのかわりオマケに、このデッキを構築した裏話。

どんなデッキを組もうかな?ハイドロイド当たらないかな?とワクワクしながら開けたパックから出たのは、

 

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「リミテッド微妙レア3人衆を連れてきたよ!!!」

 

いや、信心深いオルゾフ組員としては神引きなのだが、流石にシールド・デッキで使うには、いや、本当は使うべきだったのだろうが。しかし、うーん。ごめんなさいテイサちゃん、今回は赦免してほしい。あっでも《天上の赦免/Ethereal Absolution》はやめてね、オブゼダートと一緒に成仏しちゃう。

 

 

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それでは今回はここまで。

 

次回のパンデモ杯は3/16日、フォーマットはスタンダード構築です。

4月度はレガシー(プロキシ可)の予定です。

もしご興味お持ちいただけた方は、@talru_c | TwitterパンデモMTG部 (@PandaemoniumMTG) | Twitterまで是非ご連絡ください!